「変革の時代を迎えて」

                         

                            アドミッションセンター長(副学長) 清水 

 

 

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。教育基本法の改革や教育再生会議の設置などに見られるように、日本の教育が見直されようとしています。「いじめ問題」や学力低下など日本の教育現場では様々な問題が起きています。今、日本の教育を見直し、改革しようとする姿勢は評価できますが伝わってくる内容はがっかりするものが多いように感じます。国立大学の見直しは法人化という形で降りてきました。国立大学法人が国立大学のときより前進することになれば、この改革に対して賛同できますが必ずしもそのような結果につながっていない気がします。確かに、国立大学の時代に見られた少々安易な取組が改善された面はプラスの効果として認められると思います。しかし、評価の名のもとに国立大学法人は馬車馬のように走らされ、自主性という大学が最も大切にしてきたことが失われてしまったように感じているのは私だけでしょうか。

希望に満ちて入学されてこられた新入生の皆さんにこのような場違い的な話題から入って申し訳ないと思いますが、大学の実情を理解して頂きたいという気持ちで書きました。

そのような背景の中、鳥取大学は「人間力」を根底とした教育を実践しようとしています。基礎学力が大学生にとって重要なことは当然ですが、「コミュニケーション力」や「実践力」、「体力」及び「気力」などの他の能力も大切であるとの認識から本学の教育グランドデザインは構成されています。人間力アップ教育は、現状の我が国における教育目標としてタイムリーな目標だと考えます。日本の社会は「親殺し」「子殺し」「兄弟殺し」が珍しい事件といえないほど荒廃してきています。原因は種々考えられると思いますが、私は、「人間力不足」が起因していると考えています。そのような意味では、本学が「人間力」を教育目標として取り上げた考え方に納得がいきます。ただ、本学の人間力教育はスタートしたばかりで具現化されていない点も多く、今後どのくらいの具体的な成果が実証できるかということにかかっていると思います。これからの国立大学法人は、いろいろな意味で学生が中心になって行くであろう事が予測され、大学を良い方向へ変革していくためには教職員より学生の力がより必要となるともいえます。これまでも学生の意欲や努力の程度によって、その大学のレベルが決定される面はありましたが、本学においては、この人間力養成教育の成果が鍵を握っている気がします。

「少子化」の影響で受験生の減少していくことが予測され、2008年には全入時代になるともいわれています。本学の平成19年度の受験倍率をみると少しその傾向が見え始めています。アドミッションセンターとしても優秀な学生の受け入れに対して、これまで以上に頑張らなくてはいけないという思いと同時に入学してきた学生に対して、人間力レベルアップするための教育を本気印でやることが必要な時代になったと感じています。

 「おとなしくて、真面目な学生は多いが、個性的でパワフルな学生が極めて少なくなった。」という意見も多く聞かれます。これらの証言が正確であるかという点については、明確なデータがあるわけではないので立証できませんが、特徴を持った人間力豊かな学生を育成することが本学のこれからの最大の目標になるのではないかと思っています。

 今の時代は評価の時代といわれ、国立大学法人も例外ではなく評価の嵐の中で悪戦苦闘しているのが現状です。評価に耐えられない大学は、淘汰されていく可能性もあることから各大学は内部評価及び外部評価に対して必死の努力をしています。本学も例外にもれず評価に対しての全学的努力を行っている真最中ですが、最も大事な点は「学生の充足率」と「学生の満足度」にあるという指摘もあります。そのためには受験生や学生諸君に本学の特徴や努力を理解してもらい、学生と教職員が連携・協力して鳥取大学を魅力的な大学に変革していく姿勢が必要であろうと感じています。

 新入生諸君の色に染まっていないフレッシュな面に大いに期待していますので、「鳥取大学は自分たちで変えるのだ」という意気込みで頑張ってもらいたいと切に願っています。