情報活用能力を高めよう

総合メディア基盤センター 教授 山岸 正明

 皆さん,鳥取大学ご入学おめでとうございます。自然に恵まれた教育環境のとても良い鳥取大学で,自分の夢や目的を達成されることを願っています。私は夢を追い続けることは,人間にとってとても大事なことと思っています。夢を持つということは,常に前向きに物事をとらえ,強く生きることに繋がると思うからです。

 さて,現代は先行きが不透明な時代,夢も希望もない時代とも言われています。しかし,私は,夢を持ち,その夢を追い続け,夢を実現できるのは人間にしかできないことだと思っています。その人間が作り出したコンピュータが個人でも手軽に使えるパーソナルコンピュータ(パソコン)として出現し,猛烈なスピードで情報化社会へと突き進んでいます。情報化で,私たちの生活は便利になりますし,空間,時間,年齢差もなくなってきました。社会の情報化はバラ色の世界を作り出してくれるのでしょうか。皆さんが本当に楽しく,健康で,安全に暮らせる世の中に情報化は役立っているのでしょうか。鳥取大学で学ぶあなた方が,何年か先にこの答えを見いだすことでしょう。

 ではこれからあなた方が学ぶ鳥取大学の情報化はどうなっているのでしょうか。鳥取大学が必携パソコンを始めて,今年が5年目です。本学では,1年次の大半を過ごす共通教育棟の講義室をはじめとして,地域学部,医学部,工学部,農学部の講義室でも,ノートパソコンを持ち込めばインターネットに接続できる情報環境を整えてきました。本学で行われている語学教育や情報リテラシの講義をはじめ,多くの先生方はパソコンを使ったり,インターネットにパソコンを接続して講義を行っています。皆さんの中には,機械音痴,パソコン音痴を自称する人がいると思います。パソコンが嫌でこの学科に入ったのに,パソコンを使わなければならないとは思ってもみなかったという人がいるでしょう。実は,大学で学問を学ぶ,あるいは研究を行うのに,インターネットやパソコンと無関係ではありえません。大学生には,インターネットを使って資料を収集し,パソコンでデータを処理し,レポートを書けることが要求されています。今や,パソコンは,大学で学ぶ人たちにとって必要な教育用の道具(教具)です。

 実は,この教具であるパソコンがインターネットにつながっている(ネット社会とも言います)ことは,使っている人は被害者になるとともに加害者になることも多いことを意味しています。近年,インターネットによる被害にあった学生で,自分が被害者だと思っていたら実は加害者になっていたという事件が多くなってきています。このことはネット社会での大きな特徴です。さらに,近年モバイルの情報端末として,急速に普及してきたものに携帯電話があります。鳥取大学で携帯電話を所持する新入生の割合は,平成18年度でほぼ100%になりました。携帯電話は電話,TV電話,テレビ受像器,携帯メール,インターネットと,あの小さな筐体の中にインターネットと接続されたパソコンと同じか,それ以上の機能を持たせています。携帯電話はパソコンと違って,場所と時間を選ばない手軽な高性能の情報端末です。便利さ故に携帯電話による犯罪に巻き込まれる危険性も多くなってきました。出会い系サイトや有料サイトへの誘い,携帯メールによるイジメや嘲笑,携帯電話やメールによるストーカー行為などです。

 便利なもには常に危険性が潜んでいます。ネット社会では自分で自分を守らないと生きて行けない社会になってきています。一年生で受ける共通教育科目の情報リテラシの中では,ネットワークの使い方とともに,ネットワークに接続したパソコンの危険性,その危険性から自分を守る方法などを情報倫理(情報モラル)として講義をしています。インターネットによる被害者や加害者にならないために,早く情報倫理を身につけ,正しくパソコンや携帯電話を扱えるようにしてください。

 今や,高等教育機関で学ぶ人たちは,インターネットにパソコンを接続して使うことは当たり前のことですし,その力が無ければ,学問を学ぶことも研究することもできません。自分に必要な情報を得る,得た情報を加工する,情報を発信するという力は情報活用能力と呼ばれ,学問を学ぶ,研究をする,就職活動をする,豊かな生活をおくるのに必要な力です。これは,鳥取大学における教育のグランドデザイン「人間力」の一つです。

  大学は,学問を学び,心理を探求し,人間としての自分を鍛えるところです。また,価値観の異なる人と出会え,人間的に大きく成長する次期が大学生時代です。新入生の皆さんは,早く鳥取大学の生活に慣れ,そして情報活用能力を身につけ,有意義な学生生活を送られることを願っています。