松本 雅弘

1.教育活動

担当科目:[教養基礎科目]フランス語

[主題科目]  フランス文学

2.専門分野 :

フランス文学・詩学

3.研究内容

研究テーマ:

ステファヌ・マラルメ

象徴主義

著書・訳書:

  『結社の世界史 3  アソシアシオンで読み解くフランス史』(共著、山川出版社)

   F・ブローデル『文明の文法』I・II(みすず書房)

   F・ブローデル『ブローデル  歴史を語る――地中海・資本主義・フランス』(共訳、新曜社)

   G・デュビー、J・ル・ゴフ他『愛と結婚とセクシュアリテの歴史』(共訳、新曜社)

    ほか

 論文:

  「櫂と睡蓮――マラルメの《白い睡蓮》における「逸話」と「詩篇」をめぐって」(『佛文論叢』)

  「黒い睡蓮――マラルメの後期散文詩《L'Ecclésiastique》をめぐって」(『人文学報』)

  「マラルメの夢の〈Marginalia〉に向けて――後期のステファヌ・マラルメとエドガー・ポー」(『フランス語フランス文学研究』)

  「〈白〉が〈黒〉となる時あるいは翔びたつ白鳥――マラルメ《白鳥のソネ》と《大鴉註解》」(『法政大学教養部紀要』)

  「〈栄光〉のかなたへ――マラルメの後期散文詩《La Gloire》をめぐって」(『一橋論叢』)

  「〈メディア〉の詩人――1870年代のマラルメとジャーナリズム」(『マラルメ研究資料II』)

  「『薤露行』――〈白鳥〉の物語」(『國文學』)

    ほか

教科書:

  『マドレーヌ フランス語文法読本』(共編著、白水社)

4.主題科目《フランス文学》について

 現在主題科目として開講している《フランス文学》は、一昨年まで《フランス詩》として開講していた授業を発展させる形で新たに開いたものです。この《フランス詩》という授業は、原詩や英訳も参照しながら翻訳でフランスの「さまざまな時代、さまざまな詩人の作品を読むことを通して、詩の言葉に親しみ、作品とその母胎である文化への理解を深め、さらにその移入にあたって先人たちが日本語にもたらした豊穣な富を享受することをめざし(…)明治以降数多くの訳詩集が生みだ[してきた]名詩名訳を読み、洗練され研ぎ澄まされた言葉を味わうことによって、感覚や思考の多様できめ細やかな表現を学」ぶという「学習目標」を掲げていましたが、《詩》となると敷居が急に鴨居のようになってしまうのか、少数の熱心な受講生には恵まれたものの、もう少し幅広い関心にたいして開かれた授業の必要性を感じて新たに開講することになったのが、この《フランス文学》という授業です。

 この授業は、詩に限定せず、小説や戯曲、思想作品など各世紀を代表する主だったフランス文学作品を日本語の翻訳で読む授業で、映画や映像資料も時に参照しながら、受講生による発表・紹介なども織り交ぜつつ進めていくようにしています。2009年度に受講生たちの選択によってとりあげられた作品は、モンテーニュ『エセー』、ルソー『社会契約論』、スタンダール『パルムの僧院』、バルザック『ゴリオ爺さん』、フローベール『ボヴァリー夫人』、ランボー『地獄の季節』、プルースト『失われた時を求めて』(第1篇第2部「スワンの恋」)、カミュ『異邦人』など時代もジャンルも多種多様で、受講生たちによってそれぞれの作品について発表がおこなわれました。

 なかにはそれまでほとんど文学作品を読んだこともない、ましてフランス文学ははじめてという受講生もいましたが、それでも難渋しながらも何とか作品を読み通して確かな読後感を語り、さらに他の作品への関心も示すというように、多くの受講生がふだん読み書き話す言葉とはずいぶん懸け離れた難解な訳文や訳語にとまどいつつも、作品の力にうながされるようにして読み通すことによって未知の言葉との出会いを達成感とともに経験することができたようです。プルーストはラスキン『胡麻と百合』の翻訳に付した序文のなかで読書を「精神生活の入口にある」ものとして、ひとを未知の精神生活へといざなう「うながし」という「書物の偉大なすばらしい性格」について語り、そこにひとの精神生活のなかで占める読書の役割を見ていますが、自らの「環境世界」のなかでともすれば眠りこみかねない若い人たちにそうした時間と場をさしだすこと、どのようにしてそうした「うながし」に出会えるのか示唆することが必要ではないかと考えています。受講生たちにとってこの授業がそうした「うながし」へとみちびかれる場であればというのが授業担当者としてのいまのささやかな願いです。

外国語部門・教授

松本 雅弘